SDGs とは

SDGs とは

最近話題の SDGs (エスディジーズ)とは、一体何なのでしょうか。よく知らない人もなんとなく知ってい人もわかりやすく理解できるように解説をいたします。

本当に知りたかった SDGs の真実

SDGs は、持続可能な開発目標のことで、Sustainable Development Goals の頭文字の SDG と複数形を意味する小文字の s がついて名称が構成されています。

複数形を意味する小文字のとおり、目標(ゴール)はたくさんあります。17 個のゴールで構成されていて、以下の通りとなります。

SDGs のゴール一覧

この 17 のゴールは、あくまでもキャッチコピーであり、この下には、169 のターゲットが存在します。

細かいターゲットは、SDGs のターゲットを記載した こちら のページをご参照ください。

国連が取り組む SDGs が広まる背景

イギリスで始まった産業革命は、エネルギーの概念を覆しました。

従来は、馬や牛などを用いてモノや人間を運んでいたものや工場の人力に頼った作業が、石炭を用いて蒸気を発生させてあらゆるものを便利にし始めた時代から、植民地支配、二度の世界大戦、そして戦後から 20 世紀後半までの世界のあり方に疑問が生じ、

「このままでは、環境汚染もひどく、資源も枯渇して生活が成り立たなくなる」

という「成長の限界」を人間が意識し始めたことで、持続可能な開発をしないと将来に渡り、人間社会は崩壊するという危機感が広がります。

一方で、成長の限界を感じる国や地域もありながら、ほとんど成長をしていない国や地域も存在し、貧困や飢餓などで苦しみを味わっている側面も地球上にはありました。

つまり先進国だけが成長するために地球があるのではなく、また先進国に追いつくために環境を汚染し続ける開発途上国を放置するのではなく、貧困や飢餓に苦しむ人たちを放置するのではなく、地球全体が、経済と資源の恩恵を受けて、公平な社会を目指そうではないかという流れになりました。

ここまでの理屈や概念というものは、ある程度の方々にご理解いただけると思います。

しかし、これらの環境汚染や資源の枯渇、貧困や飢餓だけが地球上の問題ではないことも、容易に想像できるとも思います。

地球上のあらゆる問題を解決するには、国連や国家だけではどうにもならなくなり、国連で参加国の全会一致で採択されたのが、SDGs であり、国連や国家が、企業や一般市民にも参画を呼びかけたのです。

SDGs の概念には、「誰一人取り残さない」というものがあり、2030 年という期限を設けて、地球上の問題を一気に解決しようとしたのが、SDGs ということになります。

特徴的なのが、社会的な問題のゴールの中に、17 番目のゴールである「パートナーシップで達成しよう」というものであり、より多くの参画を求め、SDGs を推進していこうという国連の意図が明確に現れている点です。

国連の全会一致ということは、国連の参加国、当然、日本も賛成しているため、日本政府も、その推進を担うことになります。

そして、企業は従来 CSR として社会貢献していましたが、CSR という企業の内部で決めた社会貢献よりも、国連が定めたゴールやターゲットという指標に向けて活動したほうが、消費者や株主の理解も得やすいということで、企業にも SDGs が広まっていきます。

当然、社会問題を解決するので、そもそも社会問題を解決する目的で活動している NGO/NPO、ボランティア団体も呼応し、最終的には、SDGs の理念に賛同した個人にも影響が及び、今では、SDGs という言葉が、そこら中に溢れている状態になりました。

これが SDGs が広まった背景になります。

SDGs って結局何をすればいいの?

SDGs の達成のためにできることは千差万別で、個人や企業、団体の特性や属する環境などにより大きく異なります。もちろん、日本という先進国ができることと、開発途上国が行えることも異なります。ここでは、主に先進国である日本人がどうすべきかを解説したいと思います。

例えば、飢餓を解決するために、169 のターゲットのうち、一番最初に出てくるものはご存知でしょうか。

「1.1 2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。」

この文章が、169 のターゲットの最初にあるので、多くの方が混乱します。この 1.1 は「絶対的貧困率の削減」のことであり、個人や企業がどうこうできる能力を大きく上回っています。

従って、敢えてこれに対して日本人ができることは、「金銭の寄付」が中心になります。

ただ、上述の通り、状況によってできることは変わってくるので、例えば、絶対的貧困率が高い地域に産業を興し、富国強兵の「富国」の精神で、ゼロベースからビジネスを立ち上げていくアンビシャスな挑戦者がいれば、ぜひ、できる人にはやっていただきたいです。

しかし、なかなかそうもいかないことも多く、やはり金銭的な支援を選択せざるを得ません。

次のターゲットを見てみましょう。

「1.2 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、全ての年齢の男性、女性、子供の割合を半減させる。」

先程は、「絶対的貧困」のことでしたが、この二番目は何の貧困でしょうか。

これは「相対的貧困」のことを指しています。

絶対的貧困が、1 日あたり 1.25 ドルや 3 ドルなどの「金銭的な尺度」で貧困に苦しむ人たちを指すのに対し、相対的貧困は、その国の中で生じている富裕層や標準家庭と比較した貧困の割合になります。

相対的貧困は、すべての人が毎月 100 万円稼いでいる中、一人だけ、10 万円稼いでいる人がいるとしても成り立ちます。10 万円では、絶対的貧困にはならないですし、開発途上国の大卒初任給 2 ~ 5 人分位あり、他国からみれば裕福ですが、全体的に「その国の中」では、相対的貧困に分類されます。

よく日本の政治家やメディアで、子どもの何割は貧困だ、シングルペアレントの何割位は貧困だというのは、相対的貧困のことです。

これに対して日本人ができることは、根本的解決と一時的な支援があります。

例えば、根本的解決とは、シングルペアレント、特にシングルマザー側の多くが相対的貧困に入るケースがあると言われていますが、そもそも、民法で「共同親権」を認めていないので、別れた元旦那さんに養育費を支払うモチベーションを沸かせず、シングルマザーの一部は、子どもと元旦那を面会させないとしているので、元旦那もじゃぁ養育費も払わないとして、養育費が足りないことがわかります。 シングルファザーの場合はその逆です。

当然、養育費をもらっていても、養育費を確定申告する人は極めて少ないはずですので、所得が低く見積もられがちですし、養育費をもらえない状態であれば、共働き世帯が増えている中、一人分の給与のため、相対的に収入は少なく、相対的貧困に入りやすいのです。

それを根本的に解決していないのに、シングルペアレントに対して手厚い保障を政府が行ってしまうため、シングルペアレントで給付金や補助金なども含めると悠々自適に相対的貧困状態を暮らしている人は多く、そんなに働かなくても手当などで十分に生活できると思えば、今度は、シングルペアレント個人が働くモチベーションがなくなります。

従って、民法の改正で「共同親権」と認め、養育費を払う民間のほう助を促し、社会保障費を削減して、自立して働いてもらうという状態にしなければ、根本的には解決しない問題なのです。

当然、セーフティーネットは、極めて重要な政策ではありますが、一部では、これに甘んじてしまい、相対的貧困に陥っているケースもあるので、これらを解決していくことが求められます。

一時的な支援であれば、子ども食堂が全国で盛んですが、こうした活動を通じて支援することもできます。地域社会で子どもたちを巻き込んで、放課後支援をするなども良い活動となります。

ここまで、169 のターゲットのうち最初の二つを見ただけで、頭が一杯になるのではないでしょうか。

次に、この節では最後にしますが、三番目のターゲットを見てみましょう。

「1.3 各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。」

日本には、生活保護制度があるため、実質的に、これはそもそも達成しています。

生活保護制度が及ばない課題なども実際社会ではあると考えられるので、それらは、地域コミュニティの中で見出して、保護をしていく NPO などを支援することが検討されます。もちろん、NPO に対して政府も地方自治体(都道府県、市区町村)も支援していることから、問題があれば、都度都度、民間レベルで解決していくことも日本には備わっている機能になります。

従って、日本だけ見てみれば、日本は達成済みのため、日本人が、日本国内でできることはほぼない状態に近いです。

もちろん、日本以外の国に国籍を有さない日本人は、こうした諸外国の政策に対してできることは限られますし、そもそも 1.3 自体は、国が中心のターゲットなのです。

SDGs ってそもそも何をすればよいのかとなった場合には、ぜひ、169 のターゲットを見ていただき、それぞれに対してご自身ができることを模索した上で、取り組んでいくということになります。

国でしか変えられないことも多くあるので、これを契機に「選挙」についても考えるきっかけにしていただければと思います。

国が変わらないと思えば、選挙で変えるしかないので、一人ひとりの選挙権で民主主義国家は、変化を求めるしかないのです。もちろん、ご自身で出馬することまでも検討してもよいのです。それが民主主義国家の根幹なのですから。

海のごみ拾いも SDGs ?絡み合う SDGs のターゲット

海の場合には、自ずと「14. 海の豊かさを守ろう」という 14 番目のゴールをイメージされる方が多いです。

では、「14. 海の豊かさを守ろう」のターゲットをみてみましょう。

  • 14.1 2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。
  • 14.2 2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。
  • 14.3 あらゆるレベルでの科学的協力の促進などを通じて、海洋酸性化の影響を最小限化し、対処する。
  • 14.4 水産資源を、実現可能な最短期間で少なくとも各資源の生物学的特性によって定められる最大持続生産量のレベルまで回復させるため、2020年までに、漁獲を効果的に規制し、過剰漁業や違法・無報告・無規制(IUU)漁業及び破壊的な漁業慣行を終了し、科学的な管理計画を実施する。
  • 14.5 2020年までに、国内法及び国際法に則り、最大限入手可能な科学情報に基づいて、少なくとも沿岸域及び海域の10パーセントを保全する。
  • 14.6 開発途上国及び後発開発途上国に対する適切かつ効果的な、特別かつ異なる待遇が、世界貿易機関(WTO)漁業補助金交渉の不可分の要素であるべきことを認識した上で、2020年までに、過剰漁獲能力や過剰漁獲につながる漁業補助金を禁止し、違法・無報告・無規制(IUU)漁業につながる補助金を撤廃し、同様の新たな補助金の導入を抑制する。
  • 14.7 2030年までに、漁業、水産養殖及び観光の持続可能な管理などを通じ、小島嶼開発途上国及び後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる。
  • 14.a 海洋の健全性の改善と、開発途上国、特に小島嶼開発途上国および後発開発途上国の開発における海洋生物多様性の寄与向上のために、海洋技術の移転に関するユネスコ政府間海洋学委員会の基準・ガイドラインを勘案しつつ、科学的知識の増進、研究能力の向上、及び海洋技術の移転を行う。
  • 14.b 小規模・沿岸零細漁業者に対し、海洋資源及び市場へのアクセスを提供する。
  • 14.c 「我々の求める未来」のパラ158において想起されるとおり、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用のための法的枠組みを規定する海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映されている国際法を実施することにより、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用を強化する。

ごみ拾いについて、どこにも書いてないのですが、唯一当てはまるとしたら、

「14.1 2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。」

の「あらゆる種類の海洋汚染を防止し」の一部に寄与しそうです。

ただ、14.1 の趣旨は、そもそも海洋ごみを出さないことを目的として海洋汚染を防止するので、「脱プラ」や汚染した水を海に流し込むことを禁止し、浄化した後、海へ放流することを意図しています。

SDGs の啓蒙の上では、海のごみ拾いも SDGs の活動ですし、「大幅に削減する」の項目では、チリツモの理論で、「1 億総ごみ拾い」でもできれば立派な SDGs だといえます。

この「1 億総ごみ拾い」は、「17 のパートナーシップで達成しよう」の概念を用いて、SNS で拡散して仲間集めをするなど効果的です。

「脱プラ」では、「12. つくる責任 つかう責任」の

「12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。」
「12.8 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。」

が、「14. 海の豊かさを守ろう」よりも、海のごみ拾いは、「12. つくる責任 つかう責任」と関係性が高いのです。

そして海洋汚染を防ぐのは、同じく「12. つくる責任 つかう責任」の

「12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。」

が、該当してきます。

このように、一つのことを解決しようとすると、複数のゴールやターゲットが絡み合う点も、SDGs の特徴であり、ぜひ、実現したいことでもあります。

SDGs に資格なんてあるんですか?いいえ、ありません

SDGs について、国連はオフィシャル(公式)に認定制度を設けていません。

SDGs がビジネスになると思った一部の人たちが、一般社団法人を設立して、受験料などでビジネスをしていますが、SDGs の資格保有者は、SDGs の一般的な知識をテスト形式で受けた人たちなので、この記事で一切触れていない SDGs の歴史などには詳しいと思います。

この記事では、敢えてそのような説明を割愛しており、詳細を知りたければ、他のサイトを参照されることをオススメしますが、一般的に、または常識的に考えても、SDGs の成り立ちの背景を知っていることが、SDGs に寄与することは一切ありません。

筆者の経営する会社でも SDGs のコンサルティングをしていますが、あくまでも経営に SDGs のエッセンスを加えるためにコンサルティングをしており、特に ESG の支援もしていることから、ESG と SDGs の両軸を動かすために現場レベルで、169 のターゲットと向き合い地道な活動をしていながら、資格保有者は、一切社内におりません。

それでも多くの企業、地方自治体、政治家などにレクチャーやコンサルティングを提供しており、資格などのために基礎知識といううんちくを学んでいる時間があれば、実践して行動することが最も早い達成と学びを得るので、ぜひ、実践をしていただくことをおすすめします。

実践なき SDGs 民間資格保有者は、すべて素人と同じです。

持続可能な開発目標の「開発」ってなんですか?

持続可能な開発目標の「開発」に疑問符を持つ方が多くいらっしゃいます。

これは、「Development」の和訳が開発なので、分かりづらいのだと思います。

持続可能な社会の実現に向けた目標とかであれば、日本語でもしっくり来ると思うのですが、英語で Development が使われているため、分かりづらいとの声を聞きます。以下では、Development について解説します。

Development を、辞書で調べてみましょう。

development

【名】

発達、発展、進行、進展、進歩

・Calcium is necessary for the development of strong bones. : カルシウムは強い骨の発達に欠かせない。 〔状況を進展させる〕

出来事、変化◆通例、複数形で用いられる。

・Here are the latest news developments. : 今入ったニュースをお伝えします。

開発、開拓、作成

・The development of a new medicine takes 12 to 15 years. : 新薬の開発には12年から15年かかる。

英辞郎 on the WEB

Development が、しっかり来るのは、開発途上国や後発開発途上国での街の開発や産業クラスターの開発などがイメージつきやすいと思います。

Development には、それ以外にも、発展、進展、進歩などがあり、往々にして、建設的な成長を意味していることが多くあります。

従って、持続可能な成長目標とすれば、日本も成長しないといけないなと思う人も少なくないと思います。

先進国の中で唯一経済成長が低迷しているので、経済成長もそうですし、法整備や教育システムなど多くのことで、日本は、国家としての成長を成し遂げないと時代についていけなくなります。

このあたりが理解できると、開発に囚われすぎることもなくなり、すっと SDGs の Gevelopment も理解できると思います。