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ESGプロが現場から感じたことを解説している記事の二回目になります。

二回目の今回は、組織を横断する難しさについてお話したいと思います。

ESG は組織横断型のプロジェクト

ESG が原則的に組織の部署ごとでそれぞれ担当している

ESG を意識している企業の多くは、上場企業になります。後は、最近の潮流ですと、スタートアップ企業がベンチャーキャピタルから資金調達する際にも ESG を意識した対話が、スタートアップとベンチャーキャピタルとの間で必要となり、当社もご支援しています。

この記事では、上場企業を中心に書き進めていきます。

ESG の E に関しては、多くの場合、CSR を担当している部署がキーになり、S は人事、G は、法務、経営管理など、組織毎に名称は異なれど、大抵の場合、このような組織体制でご相談を受けます。

従って、ESG のコンサルティングをする場合には、ほとんどすべてのケースで、組織横断型のプロジェクトを実行します。

ところが、ESG というのは、経営のど真ん中、事業そのものにビルドインする必要があるため、それぞれの部署が担当している内容を一旦吸い上げて、経営陣のところまで持ち上げて、そこから、事業部長、営業部長、経営企画部長などに落とし込み、事業や営業、経営企画として、事業に対してどのように ESG を取り込んでいくのかのコンセンサスを取り、実行フェーズに移行する必要があります。

従来、事業上、ESG に対する事業でなかった場合には、事業のドメインの再定義など、様々な取り組みが必要であり、コストが生じる場合には、CFO や経理部長も登場してくるという、総力戦の状態になります。

つまり、ESG に取り組む上では、全部署が足並みをそろえて実行していく必要があり、なかなか組織横断型のプロジェクトを推進していくのには、厳しいものがあります。

それはそのはずであり、どの部署の長も、自己の業績なり、成果が、その後の出世街道を左右する可能性もあり、それらの将来に限らず、近い将来のボーナスの査定にまで影響を及ぼすことも考えられますし、そもそも、責任を部署の長として追うことになれば、やはり ESG は可能な限り避けたいことなのかもしれません。

一番何色を示すのが、事業部長や営業部長などで、末端の従業員まで落とし込みをするのに時間や労力を有するため、横断した後の縦への指揮命令系統上の問題まで、ESG のコンサルタントはケアしなければなりません。もちろん、子会社があれば、子会社まで範囲を広げる場合、子会社のケアまでするとなると、相当な労力になります。

このように ESG を推進する上では、経営陣のコミットのみならず、会社全体が、変革を受け入れなければならないため、ESG のコンサルタントは、あらゆる分野の知見を有している必要があり、第一回の「プロが少ない」でも解説したとおり、なかなかプロを雇うのですら難しいこともあります。

コンサルタントに責任を負わせる

ESG を推進していく上では、中には非難やネガティブな感情を抱く従業員もいるかも知れません。

その場合、「コンサルタントがそういっているから仕方がない」といって、コンサルタントの責任にしてしまい、組織上の誰も悪くないとできるかどうかが、コンサルタントが優秀かどうかの判断基準だと思うことが多々あります。

どんな非難や文句であっても、コンサルタントが聞き入れ、それを一つ一つ丁寧にケアし、諭していくことは、コンサルタントの責務だといえます。

ESG を取り込んだものの、組織の調和が崩れて、業績が悪化した場合には元の木阿弥ならまだしも、組織が全く違うのものになり「やらなければよかった」となってしまっては、何のために ESG にシフトしたのか、ESG のコンサルタントを雇ったのかわからなくなってしまいます。

そのため、組織を横断し、その後縦に ESG を落とし込む際にも、コンサルタントは常に神経を研ぎ澄ませて、小さな声も聞き入れ、組織に反映し、改善とともに ESG へのシフトをスピーディーに行わなければならないのです。

ESG を外部委託する場合には、コンサルタントに責任を負わせてもよいのか見極めて、オーダーをしてみてください。

もし、コンサルタントが責任を負わない場合には、組織内の誰かが責任を追うことになります。それは誰もがやりたくはないことですので、当然、コンサルタントが責任を負うべきです。

強い経営陣であれば、トップダウンだからと批判を受け入れる覚悟をお持ちの会社も当然あります。

その場合でも、なるべく従業員の会社への愛着を失わせないためにも、強い経営陣の身代わりとなり、コンサルタントが批判を受け入れることで、強い組織を保ち続けることができるのです。

もちろん、当社は非難を受け入れます

広告のようなことになりますが、当社はすべての批判を受け入れることで、組織の調和を保つことを基本としています。

また、全方位的に組織の横断、縦断も得意としております。

もし、気になっていただけましたら、当社のホームページも是非ご参照ください。