グーグルが展開する「ストリートビュー」で店舗内の写真を公開するサービスを商店街や観光協会が一括して申し込み、地域ぐるみで利用する取り組みが全国に広がっている。インターネット上で“模擬入店”できることから、初めて訪れる観光客を呼び込むツールになるためだ。今春から関西で大阪・新世界の商店街が活用しているほか、今後、京都や高知などで利用する動きがあるという。

大阪・新世界では、地元の飲食店や商店が加盟する新世界町会連合会が中心となって企画。撮影は、ストリートビューに掲載するパノラマ写真撮影を行う「フォスキア ジャパン」(埼玉県熊谷市)が担当した。

参加したのは約150の飲食店など。5月に約10店を先行公開したのを皮切りに順次、掲載し、掲載に同意した全店の公開が年内にも完了する見通しだ。

グーグル日本法人によると、建物内の写真は、所有者の同意があればストリートビューで公開可能だ。現在、グルメサイトなどを活用し、ネット上で情報を発信する飲食店は増えているが、老舗や個人経営の小さな店舗は、そうした手法さえ知らないケースが多い。一括撮影によって、こうした“ネット弱小店舗”の良さを知ってもらい、観光客を呼び込むのが狙いだ。

 

新世界での写真公開は今年3月、フォスキア社の長谷川幸世社長(36)がプライベートで訪れたのがきっかけだ。長谷川社長が「下町情緒あふれるいい街。小さな立ち飲み屋や老舗も多く、写真の公開は有効だと思った」と連合会に打診。連合会もこれに応じた。

〝模擬入店〟でき一目瞭然

連合会の担当者で、カフェ店経営の近藤正孝さん(53)は「どんな店でも、初めて行く店は入りにくい。一度店内を見ておけば入りやすくなる」。創業47年の立ち食いうどん店「三吉うどん」の2代目、岸野友和さん(49)も撮影・公開に応じた一人。「インターネットでの情報発信なんて考えたこともなかったが、ネットで情報を集めて店を決めている人が少なくなく、とにかく多くの人に知ってもらういい機会だと思った」と話す。

実は、同様の取り組みは全国各地で進んでいる。

埼玉県長瀞(ながとろ)町では今春、観光協会に加盟する飲食店や土産物店約60店の写真を公開。田島茂行事務局長(43)は「飲食店なら座敷なのかテーブルなのか、土産物ならどんなものが売っているのか。写真なら一目瞭然」。撮影などにかかる費用は協会が一括して負担した。「ストリートビューなら観光地を疑似体験できる。事前に予習をしてもらって、実際に訪れた時により楽しんでもらいたい」と期待する。

フォスキア社によると、来年以降も、京都や高知、神奈川などの都市や都道府県でも撮影が決まっているという。長谷川社長は「特定のエリアを網羅して公開することで、利用者の関心が高まるはずだ。今後も広がると思う」と話している。